Homestay in Sydney
ホームステイとは何か、ホテルとどう違うのか、どういう風に暮らせばいいのかなど について説明します。
でも「各家庭によって全然違う」の一言で終わりかも。
はじめに − ようこそ貧乏国へ

なによりもまず頭に入れておいていただきたいのは、 オーストラリアは日本よりも貧しいという事実です。 ここで「貧しい」という言葉は、単純に「カネを持っているか」という意味で使っています。 一人当たりの家や公園の面積、日々の生活をどれだけ豊かに過ごせるかなどという指標ではありません。

日本はアメリカに次いで世界第2位のGDPを誇る経済大国ですが、オーストラリアのGDPは日本の約10分の1しかありません。 人口が日本の6分の1以下という条件を加味しても、やっぱりオーストラリアは日本より貧乏なのです。
またこの国は外貨獲得の大部分を、豊富な天然資源に頼っている反面、世界に通用する車やエレクトロニクスや ソフトウェアは作れません。トヨタやソニーやマイクロソフトのような企業は存在しないのです。
先進工業国ではなく、大地をほじくり返してやっと稼いでいる、G7にも入れない経済規模の小さい国に来るのだ、 ということを常に意識しておいてください。

貧乏な国ではモノを大切にし、修理に修理を重ねて使い切ります。 水道・電気・ガスもできるだけ節約して、無駄使いしないようにします。 ですから、あなたがオーストラリアへホームステイに来て、車や家がガタボロだったり、 トイレット・ペーパーがぺらぺらに薄かったり、お湯がまともに出なかったりしても、あまり怒らないように。 なにしろみんなビンボーなのですから。

でも、ここでは朝、近くの公園を犬と一緒に散歩してから仕事に行き、夕食前にビーチでひと泳ぎして、 夜はオペラを観に行けるのです。東京に住んでいるアナタ、こんな生活が普通にできます?

ホームステイはホテルではない

もしあなたがホームステイを単に安ホテルの一つとして利用しようと思っていたら、 ステイしている間に不満が続出して、快適に過ごせない可能性が高いです。 部屋の掃除や洗濯、皿洗いは自分でやらねばなりませんし、痒いところに手が届くようなサービスは期待できません。 なによりも、ステイを受け入れる各家庭(homestay provider)が様々で、対応が大きく違うのです。 同じ値段で、四ツ星ホテルからバック・パッカー用安宿まであるようなもので、理不尽と言えばその通りです。

私が語学学校へ通っていた頃、クラス・メイトとお互いのステイ先についてよく話しました。 もと外交官の邸宅で、毎月正装のパーティをやっているposhな家もありましたが、ほとんどはビンボー家庭でした。 廊下の端をカーテンで仕切っただけの一角を「部屋」として与えられたとか、 夕食が毎日ヌードルばかりで飽きたとか、シャワーを浴びている時間をストップ・ウォッチで計られる、 果ては、英語が通じない(移民国家なのでありがち)とか、パソコンを勝手にいじられた、 子供が部屋に入って来て騒ぎまくるなど、悪口には事欠きませんでした。

オーストラリアのナマの生活実態を体験すること。ホームステイをする意義はこれ以外にありません。
日本ではない外国の、言語も文化も違う、全然別の場所で暮らすのです。しかもそれぞれの家庭は千差万別で、 ステイ客はその家庭のルールに縛られて暮らさざるをえません。摩擦や葛藤が必ず生じてきます。 ホームステイしようとする人で、ステイ先と様々な交渉や調整ができるほど英語が堪能な人はマレでしょうが、 問題が生じた時は、まずはなんとか話し合ってみてください。お互い、単純に知らなかったとか、誤解していただけかもしれません。 それでも駄目なら、さっさとステイ先を変えるのもひとつの手です。 フラストレーションをためて、嫌な雰囲気で暮らすよりはましですし、別のステイ先の方が自分にあっているかもしれません。

もう一つの方法は、文化人類学者になったつもりで生活することです。 オーストラリアに住む異人種の文化と珍妙な風習をリサーチをするのです。 なぜ、洗剤で洗った後、皿をすすがないのか、家の中で靴を履いているくせに、裸足で外を歩くのか、 焼き過ぎたBBQなんぞを本当にご馳走と思っているのか、などネタにはこと欠きません。 異文化と触れ合い、違った家庭のルールに直面すると、それまで自分が無意識にやっていたことの意味を気づかせてくれます。 それはとても貴重なフィード・バックで、私たちの人生を豊かに、開放的にしてくれるでしょう。

一般的な注意事項

ホームステイについての注意事項は、下記のようなサイトにとても詳しく書かれていますので、ご一読下さい。

ボンダイ・ジャンクションの英語学校SELC(Sydney English Language Centre)

     基本的な注意事項 ⇒  http://ja.selceducation.com/australia/accommodation/living-with-a-homestay/

APLaC(シドニー多元生活文化研究会)の田村さんの鋭い考察

     ホームステイすることの意味 ⇒ http://aplac.info/memo/homestay.html

ホームステイのルールなんて、できるだけ少ないほうがいいですし、 ステイ先とあなたとの関係でルールが変わることもあるでしょう。 上記のサイトで十分だと思うのですが、私の蛇足を少し。

まずは、話すこと。

朝晩挨拶をすることから、自分のこと、家族のこと、どんな趣味をもっているのか、 スポーツや音楽、映画、文学、なんでもかまいません。 挨拶は「Hi!」だけで十分、話題は「I like music.」で最初は全然OKです。 黙々とごはんを食べて部屋でパソコンをいじっているだけだと、ホームステイする必要がありません。 そういう生活がしたいなら、自分でユニットを借りたり、シェア・ルームに住んだ方がいいです。

次に、聞くこと。

何か使いたい物があったり、したいことがあったら必ず聞いて、確認してください。 そうしないと、旧式のガスコンロを勝手に触って壊すとか、洗濯物を部屋の中に干して、 壁にカビを生やすとか、いろいろトラブルの元になります。

そして、完全主義を捨てること。

日本人はオーストラリア人よりも、完璧を目指して努力する度合いが強いと思います。 また相手にもそれを求めます。ですが、こちらの人は、もう少しいいかげんで気楽です。 日本人的には、なんでもっときちんとやらないんだ!とアタマにくることが多々あるでしょう。 夕食は6時と言われたのに、7時過ぎまで誰も帰って来なかったり、 いきなり留守番よろしくと言って一家揃って旅行に行ってしまうかもしれません。 そんな環境で自他ともに easy going で No worries mate と笑ってすますには、完全主義を捨て、 7割OKなら十分という心境になる必要があります。 特に日常生活では、無理にでも relax するよう努めてください(^。^)。

それではうちの場合は

ドアは静かに閉めようとか、水を流しっぱなしで歯を磨くなとか、 あなたはヤギなのかと思うほどトイレットペーパーを大量に消費しないでほしいとか、 細かいことを言い出せばきりがないのですが、 とりあえず食事の習慣と水の使い方にだけ注意していただければと思います。

まず食事については、基本的に私たちと同じモノを食べていただきます。
ヨーロッパ系の場合、夜8時前には夕飯を食べない、パンがないと食事をした気がしないとか、 イタリア人は毎食パスタ、アジア系はコメを食べたがるとか、経験的に知ってはいますが、 全員の嗜好・習慣に合った料理を作るのは無理なのです。
ラクダの肉が主食のサウジアラビア人と、辛くないと味がないと文句を言うタイ人と、 薄口醤油と昆布だしで育った関西人(私)とに共通のメニューなんて思いつきません(^_^;)。
もちろん、ムスリムであるとかヴェジタリアンであるとかアレルギーがある場合は考慮しますので教えてください。

次は、水を大切にすること、です。
オーストラリアは非常に乾燥した大陸で、ほとんどの地域は水不足です。 シドニーでも水の使用は厳しく制限されています。 ホースで水を撒くこと、スプリンクラーの使用は禁止されています。 バスタブに浸かれるほどお湯をはるなんてとんでもない、シャワーは3分以内、 食器はすすがないでtea towelで拭くだけ、という家庭も多いです。 車はバケツ一杯の水で手洗いします。飲める水で車を洗うなんて、なんてもったいないと言われます。 洗面所や台所のシンクには必ず栓(plug)をして水をため、顔や食器を洗います。 決して、水を流しっぱなしにしないこと。
ここ数年シドニーのダムの貯水量は40%を越えたことがないので、 こういう措置はしかたないのですが、日本で生まれ育った者には、 この水をケチケチ使うという生活になかなか馴染めないでしょう。 難しいとは思いますがご理解願います。

朝食はトーストかシリアルと紅茶

残念ながら朝からご飯と味噌汁、中華粥とかはありません。

夕食は6時から7時の間

もし帰りが遅くなるとか不要な時は5時までに連絡していただければありがたいです。
夕食は私とヘレンが交代で作りますが、週1回(たいていは火曜日)は外へ食べに行きます。

バスはシャワーのみ

1階には大きなスパ・バスもあるのですが水制限のため使えません。
シャワーの水を使う時間は5分以内にしてください。
これには水の使用を控えると共に、別の理由もあります。 蒸し暑い国ではシャワーを頻繁に浴びることが、身体を清潔に保つためにも必要ですが、ここでは逆です。 シドニーは空気が乾燥しているので、油分を除去しすぎると皮膚や髪を痛めてしまい、かさかさになってしまいます。 ある程度の皮脂分を残して保湿することが大切です。

洗濯は週に1回

これも水不足のためです。 一週間分の衣類とタオル、シーツ、枕カバーで、だいたい洗濯機一回分の量になるでしょう。
それから洗濯物は乾いたら出来るだけ早く取り込んだほうがいいです。 天気が急に変わることが多く、また紫外線が強いので色あせしやすいからです。